ステンドグラスとの出会い

アメリカ合衆国アラスカ州アンカレッジ市に5年間滞在していた時の事です。
凍てつく広大な白い原野をドライブ中、不思議な明かりの一軒家が目に留まりました。
近付いて見ると窓全面に素敵なステンドグラスが入っていました。それは今まで持っていた印象とは違う落ち着いた色彩の抽象的な作品でした。
真っ白な原野での印象は強烈で、早速制作者のステンドグラスアトリエを訪ね、教えを請い第一歩を踏み出す事になりました。
私は当時極寒の地アラスカでは冬はあまり働かなくて良いと言う、願っても無い立場に居たので、その工房に入り浸りとなり制作に没頭することが出来ました。
その工房で学んだ重要な事は、ステンドグラス作家・職人として個性を持つことは大切だが ステンドグラスはそもそもとても目立つものでともすれば建物の雰囲気を壊す事もあるので、色調を押さえ気味にして出来ればその建物に入った人があまり気付かないくらいが良く、作品自体が建物の設計者の意図に反して主張し過ぎない様に注意する事でした。
従って、常に建物を引き立てる事、建物に自然と溶け込む事を念頭に制作しています。
帰国後ステンドグラス工房を福岡県の直方市に設立し、その後工房の町糸島郡志摩町に移転して、現在は主として設計事務所からの依頼を受けて制作しています。
現代のステンドグラス
教会を中心に発達してきたステンドグラスは19世紀後半に入ると其れまでとは全く印象の異なる作品が登場して来ました。教会等の作品はガラスに描いた絵画の様でそれはそれで美しいが、ガラスの特質とも言うべき透明感や質感に欠けるきらいがありました。
そこで、その特質を十分に生かしもっと広範囲な建築物に似合う個性的な作品を目指す新しい運動が起こり、L.C.ティファニーやラファージェ、建築家のライトやマッキントッシュらが活躍します。
それと共にガラス素材自体も発達を遂げ、非常にバラエティーに富んだテクスチャーや色彩や質感・透明感を持つガラスが作られる様になり、ガラス自体が芸術性を持っています。
現在、古来の宙吹き技法により作られる所謂アンティークグラスやハンドロールグラス、マシンロールグラス等約2000種類が輸入されています。
特にアンティークグラスはとても自然な色調を持ち、落ち着いた感じの作品を作るためには 無くてはならないものです。